八ッ場ダム住民訴訟控訴審で「忌避の申立て」をする

2012年8月10日 17時54分 | カテゴリー: 活動報告

去る8月7日(火)東京高裁において、八ッ場ダム裁判控訴審では、はじめての証人尋問が行われた。証人台に立ったのは、八ッ場ダムをストップさせる市民連絡会代表の嶋津暉之さん(元東京都環境科学研究所・衛生工学)と拓殖大学准教授(森林政策学)の関良基さんのお二人。
嶋津さんへの証人尋問は島昭宏弁護士が担当し、豊富な資料を提示しながら、利水について東京都はダム建設のために架空の予測で強引にすすめようとしてきたことを詳らかにした。
関准教授には、治水について、高橋利明弁護士から尋問をおこない、中規模洪水を基につくられた国交省や日本学術会議の計算モデルは大規模洪水にはあてはまらない根拠を、ご専門の森林の保水力等の見地から述べ、八ッ場ダム建設は不要であることを立証された。

この日、原告側から追加申請していた証人7人(国交省や東京都河川局の担当幹部も含む)はすべて却下されてしまった。高橋弁護士は、なんとか認めてもらえないだろうかと熱意を持って訴えたが、裁判官から「すでに十分な立証が尽くされている」として受け入れてもらえなかった。原告側弁護団は休憩を申し出て、別室で10分ほど相談をした。再開後、高橋弁護士の口から発せられた言葉は、なんと!「忌避の申立て」だった。

この耳慣れない「忌避の申立て」とは、内閣でいう「不信任」のようなもの。このままでは公平な審理は望めないとして、裁判官に「忌避」を申立て、裁判官は「訴訟手続きを中断」する旨を宣言し閉廷となった。

裁判の場において「忌避の申立て」は、そう滅多にないこと。
忌避申し立てをした原告側は、このあと3日以内に書面をまとめ提出することになる。別の部(ここは民事5部なので、それ以外のところ)で、これを審理をする。(3ヶ月ほどかかるかも)つまり、この問題に決着がつくまで、裁判はストップするということだ。
忌避が認められた場合は、別の裁判官になるが、忌避は認められないことが多いと聞く。もしも、忌避が「却下」となれば、原告側は当然、最高裁へ「特別抗告」をするので、おそらく年内に結論が出ることはないと思われる。

ご存じのように、この裁判は1都5県が同様に裁判をしている。東京の裁判で結審してしまうと他県にも波及してしまう。「『忌避』は、する方もされる方も嫌なものだ」とは、忌避申し立てをした高橋弁護士の言葉。実は、弁護団のうち只野弁護士は、忌避を4回もしたというツワモノ。しかし、1回も認められたことはないのだそうだ。「それでも、納得のいかないことは、認めるわけにはいかない!」と言い切る頼もしい人だ。

今後、八ッ場ダムをストップさせる東京の会は、他の5県の会とも協力し「利根川河川整備計画」の中に「八ッ場ダム」を入れさせないという運動を展開していく。
市民の貴重な税を、これ以上、無駄な公共事業に使わせるわけにはいかない。
地盤の脆弱な土地にダム建設をすることは、断層の上に原発建設をしてしまったことと同様、恥ずべき愚策である。その反省が微塵も見られぬ国交省のあり方、「原子力ムラ」と同じように利権に群がる「河川ムラ」も何とかしなければ、この国はまたしても不幸の列車を加速させることになる。