道路整備事業の目的を見極めよ

2009年10月30日 16時27分 | カテゴリー: 活動報告

必要な事業、要らない事業

 所用で都心に出かけた折、文部科学省の近くの書店で、興味深い本に出会いました。服部圭郎著「道路整備事業の大罪」です。この本は、今年の夏に初版のもので、まさに政権交代を待って出版されたもののようにも思われます。
 著者は「日本は世界でも、道路延長距離から言っても先進国のトップを走っており、道路整備事業により地域経済の衰退を招く結果になっている」と指摘しています。
 かねがね、私は、土木事業とは必要なものとそうでないものを、きちんと見定めるべきであると考えてきました。服部氏は、多くの事例を示し、いかに道路整備により、車優先社会が歩行者を追いやり商店の喪失など環境悪化を招いたのかを力説しています。例えば、可住地面積あたりの全道路延長距離では、日本は、ドイツの約15倍アメリカの約7倍にも及び、異常な整備率であること、また、東京湾アクアラインの開通により、活性化が期待されていた木更津は、各種商業統計で大きく衰退し、千葉周辺のデパートもダメージを受けているというのです。昨今の不況も多分にあるかもしれませんが、残念ながら、道路整備したことにより、こうした事態に陥っている自治体は全国に多数あるというのです。
 読み進むうちに、私は故郷の現状に思い至りました。実家のあるいわき市植田町は、街中を国道6号線が貫いていますが、そのすぐ東側にバイパスが開通して以来、昔ながらの商店は、どんどん姿を消していきました。駅前の大型スーパーが撤退すると、マイカーを持たなければ、日々の食材確保にも不便するようなありさまです。
 まさに、道路整備がもたらした商業衰退の例が、身近にもあったのだと愕然としました。しかし、このまちの住民は、なんとか復活しなくては!と駅前の空き店舗を活用し、地元産の食材を販売するコミュニティ・ショップを始めたり、子育て支援のため「街なかコミュニティルームうえはうす」をこの10月からスタートさせました。先週、訪れた時は「美肌教室」を開催していました。
 市民の力なくしては、まちの再生は望めないな〜と実感しました。

 国立市では、駅周辺まちづくりにおいて、都市計画道路3.4.10号線の旭通りまでの延伸をめぐり、議論が続けられてきました。服部氏は道路整備により「ストロー効果(競争力の弱い地域が強い地域に吸い取られてしまうこと)」のダメージで中心市街地が衰退すると言われます。確かにその通りですが、それは、できた道路の先に吸い取る商業地がある場合です。国立の場合には、駅前広場を歩行者優先の空間として創出することで、その周辺の商業の活性化につなげようというものです。車を排したところの活性化の事例は数多くあります。そのためには、公共交通以外の一般車両は、ロータリーから締め出さなくてはなりませんので、3.4.10号線が必要となるのです。しかし、単に通過交通をさばくためのものとして築造しては効果が望めません。歩行者のための十分な幅員を確保することや快適で魅力的デザインを配す必要があります。緑川上部道路築造での経験から言えることは、今後は、行政が、旧態依然とした車優先のモノの考え方しかできない警察に対し「新しい道づくり」を認めさせるかが、大きな課題だろうと考えています。

写真:左は「道路整備事業の大罪」の表紙
   右は10/28 国立・生活者ネットワークが国立市長に予算要望書を提出