デタラメな国交省

2008年8月1日 14時35分 | カテゴリー: 活動報告

八ッ場ダム裁判で露呈した新事実

 7月30日、東京地裁において、第20回の八ッ場ダム裁判2度目の証人尋問が行われました。今回、証言台に立ったのは、元新潟大学教授で治水がご専門の大熊孝さんです。
 大熊さんは、1973年(昭和48年)に「利根川における治水の変遷と水害に関する実証的論文」を発表しました。全3巻の論文は、計100冊作成され、当時の建設省利根川水系の工事事務所などに配布されました。その後、この論文は「極秘」の判を押されて倉庫に眠っていると耳にし、これをきちんと世に出したいと、出版されることになるのですが、今回、裁判所に証拠として出されたものは、この本になるときに、一部カットされた部分でした。大熊さんは「同じ土木の世界で、仕事をしている人たちがやったことを本に出したくはなかったから」と当時を振り返ります。しかし、八ッ場ダムについて、多くの人が苦しんでいるのを見て、今回、その部分を発表することを決意したそうです。利根川流域にカスリーン台風と同じクラスの降水量があった場合、洪水の量を予測するには八斗島(やったじま)を治水基準点としています。そのために上福島・山鼻・若水の3ヶ所の水量からこの数値を割り出すのだそうです。この3ヶ所のデータは国交省のものです。データを見ていくと、水量の増加は、下流より上流のピークのほうが後にきていることがわかります。これは、何を意味するものかというと、吾妻渓谷は上流と下流とで流出具合に差がある、つまり、地形的にもともと天然のダムであったというのです。ここに人工のダムを造った場合の危険性を大熊さんは、指摘しています。
 今回の最大の山場は、この八斗島の基本高水量です。本件ダムの上位計画である「利根川水系工事実施基本計画」では、八斗島の基本高水量を22,000トンとしていましたが、国交省は、最近になって、16,750トンであると修正しました。これは、前回裁判で証人に立った嶋津輝之さんが、国交省に情報公開の開示請求をしてわかったもので、大熊さんが調べた数値に近いものです。この22,000トンを根拠にダムが必要であるという論を立てていた事が、根底から崩れたわけです。しかし、未だに国交省のHPでは、これを修正されていません。大熊さんは、現地で200日以上、調査をしてきました。利根川流域に22年住んでいる方々に実態調査を重ねた結果、河川氾濫の実態は、事実と違うこともわかり、国交省の数字の改ざんへと辿り着いたようです。
 このあと、11/25の13:30〜最終弁論(522号法廷)で終結となります。来春、判決が出される予定ですが、八ッ場ダムに関わる人々にとっての、熱い暑い季節は、まだまだ続きます。