ソーラーアーキテクチュア・シンポジウム

2008年5月23日 15時12分 | カテゴリー: 活動報告

環境配慮型建築物をどう普及させるか?

 朝から夜まで、ハードな一週間がようやく終わりました。自分でもよく体力がもったものだとびっくりするほどです。それだけ、充実した週の中で、何をハイライトとするか、とても迷いましたが、5/23(金)日本建築学会の主催した「ソーラーアーキテクチュア・シンポジウム」は、ひじょうに興味深いものでした。
 太陽光発電では、日本は世界でもトップランナーでしたが、2005年に政府が補助金を打ち切ったこともあり、その座をドイツに明け渡すことになりました。しかし、その一方で、ソーラー建築の普及に熱心に取り組んできた人々がいます。ソーラー建築は、デザイン上問題ありとの認識から、それが普及の妨げになっているのだとすれば、なんとかそれを克服できないだろうか?というのが、この日のテーマでした。
冒頭の講演は、今年1月の「新エネルギー・フォーラムin東京」で、ソーラー・オブリゲーションのお話をされた工学院大学名誉教授の中島康孝さんでした。参加者には建築家が多いこともあり、実務的な集熱方式や太陽光発電の外壁や屋根の太陽電池モジュールのアイコンやコードなどが紹介されました。これらは、私のような素人には、まるでわかりませんが、太陽熱利用と太陽光発電による太陽エネルギーの利用計画と評価を試算され、たとえば32㎡の太陽熱・太陽光発電屋根受光のソーラー住宅では、年間最大約2万tのCO2の排出を削減できるので、これを全国に4700万世帯全部が設置したと仮定すると、京都議定書基準年の1990年と比べて2006年時点のCO2排出量は、目標の12.4%という削減量の60%が達成できるのだとのお話でした。
 また、東京都環境局からは「100万kwの太陽エネルギーの導入、10年で投資回収」を掲げての東京都再生可能エネルギー戦略の取り組みについて、NEDOからは、導入補助制度、税制優遇、技術開発の取り組みなどが紹介されました。
私が、一番面白かったのは、太陽光・太陽熱利用の日本各地や世界の建築物の事例紹介でした。オランダのホーテンの消防署車庫は放射状形態屋根をBIPVガラスアトリウムで発電するシェルターで、屋根の所有は電力会社で、10年経つと払い下げられというものや、EUにおける先進的なダブルスキンのビルなど、豊富な写真で多角的に見ることができました。意外だったのは、中国が太陽熱利用ではたいへん先進国であったということです。ただ、国民性か自然環境には抗えないのか、ソーラーパネルが埃だらけなのだそうです。パネル表面が埃に覆われると効果は20%も減となるそうですが、北京では、埃を拭うこともないようです。
ドイツやスウェーデンでは、晴天時が少ないのにどんどん太陽光発電をすすめているとのことで、国は1台につき750ユーロの補助金を出しているそうです。
しかし、大事なのは、補助制度だけでなく建築制限も合わせてかけていかなければ、せっかくのソーラーパネルを設置しても、日陰となるような高度のある建築物で遮られては、効果がありません。すでに、ドイツでは、これも考慮されたまちづくりがなされているとのことでした。
今後は、自治体で取り組めるような普及のためのしくみを建築家・研究者・自治体職員や議員もともに検討することが必要であると実感しました。