個人情報保護とプライバシー権

2005年6月3日 16時32分 | カテゴリー: 活動報告

予測する能力の重要性

 住民基本台帳ネットワーク(以下、住基ネット)が、本格稼動して1年9ヶ月になりますが、5月30日、金沢地裁は、住基ネットからの個人の離脱を認める判決を下しました。一方、名古屋地裁では、まったく逆の結果となりました。利便性を追求するあまりに、大事なプライバシー権が侵されるとしたら、皆さんはどちらを選択するでしょうか。

 国立市議会では、現在、水道・下水道料金の未納カード紛失の調査特別委員会(以下、百条委員会)が進行中ですが、個人情報保護についての職員一人一人の意識が、非常に希薄だったことに驚かされます。これまで、何人もの職員から、聞き取りを重ねてきましたが、「個人情報」と言えば、(住民票などを扱う)市民部だけの問題だと考えていたような職員もいました。行政は、日頃からさまざまなケースを想定して、市民のために何がベストかを考えなければならないのに、リスクマネジメントが非常に脆弱であることがわかりました。そもそも「大事な未納カードを紛失する」などということは、想定していないのです。ですから、東京都の業務運営要領にも、そのための対応策については載せてありませんでした。個人情報が、なぜ大事なのか、またそれが、どんな危機にさらされるかを予測し、そのための対応策を準備しておくことが重要です。

 皮肉にも、「秘密」は、「悪」であると教えようとする「こころのノート」が道徳の副読本として使われる時代にあって、「秘密」にしておきたいこと(プライバシー権)もちゃんと憲法13条で認められているということを、一人一人が、きちんと理解できるようにしなければ、ほんとうの個人情報保護は望めないでしょう。
 何より、自治体は1日も早く情報セキュリティポリシーを確立することが必要です。情報システムの利用者の情報セキュリティに対する意識向上はもちろんですが、利用者個人の裁量で、その情報の取り扱いが判断されることのないよう、組織として意思統一され、明文化された情報セキュリティポリシーを策定することが急務です。